梅の大辞典
梅、梅干しの品種
2、品種
学名 Prunus mume英語 Japanese apricot
梅の品種は、300種以上あると言われています。
よく花梅と実梅に区別されていますが、あくまで利用上の分け方であり、厳密なものではないようです。
梅はバラ科、サクラ亜科、スモモ亜属に属します。
梅と杏は近縁種で、開花時期の重なる地域では自然交配することもあります。
紀南地方で育てられている南高梅も、『杏性梅』という杏の血を引いた品種と言われています。
だからなのか、梅が完熟する頃の梅畑に行くと、甘酸っぱい杏に似たとてもいい香りを楽しむことができます。
また、完熟した梅を食べてみると、スモモのような美味しさです。
紀南地方の主な梅の品種
古城梅(ごじろうめ) みなべ町の生産量の1割程
大正時代後期、田辺市長野の那須政右ヱ門氏が、西牟婁郡旧上芳養村方面から譲り受けた苗木を接ぎ木した中から生まれました。那須氏の屋号をとって「古城梅」と名付けられましたが、果実が極めて美しく大きな緑色の楕円形になるため「青玉梅(せいぎょくうめ)」とも呼ばれています。
果実の大きさは25g~30gぐらいで、木の勢いが強く、病気にもなりにくく、集約(しゅうやく)管理をすればたくさん実がなる品種で、収穫期の早いのが特徴です。
実が崩れにくくエキスがよく出るため、梅酒、梅シロップに適しています。
南高梅(なんこううめ) みなべ町の生産量の7割程
明治35年、上南部村の高田貞楠氏が、譲り受けた梅の苗の中から粒が大きく、美しい紅のかかる優良種が一本あるのに発見しました。これを母樹として大切に育て、高田梅の基礎をつくりました。
その後、南部高等学校教諭 竹中勝太郎氏が5年間にも及ぶ調査研究の結果、最も優れた品種を「南部(みなべ)高校」と「高田梅(たかだうめ)」の名をとり、「南高梅(なんこううめ)」と名付け発表しました。
果実の大きさは25g~30gぐらいで、木の勢いが強く、たくさん実がなります。皮が柔らかく、果肉が厚いのが特徴です。
また果実の色は緑色ですが、完熟に近づくにつれて黄色みを増し、日光の当たる所は、鮮やかな紅色に変わります。
梅酒、梅シロップ、梅ジャムと、さまざまな用途に使われます。
酒・梅ジュース用には青梅として、また、皮が薄くて柔らかく果肉が厚い完熟梅は、梅干用としてとても適しており、紀州産の梅干しはほとんどがこの南高梅から製造されています。
小粒南高(こつぶなんこう) みなべ町の生産量の2割程
果実の大きさは、16g~25gぐらいです。品質は南高梅と同じですが、自家結実性の高くない南高梅の受粉樹として多く植えられています。